JACET英語辞書研究会2025年度第2回例会でWikipediaの発表を実施

Translate this post

稲門ウィキペディアン会のEugene Ormandyこと、東京大学大学院修士課程の大宮です。2026年3月14日に東洋大学白山キャンパスで開催された、JACET英語辞書研究会2025年度第2回例会にて、「日本語版ウィキペディア編集者の百科事典観:良質な記事の選考における議論が準拠する方針およびガイドラインの分析」という発表を行ったので、その模様を記録しておきます。

稲門ウィキペディアン会のロゴ (Eugene Ormandy, CC BY 4.0)

経緯

日本語版ウィキペディアにおける良質な記事の選考にみられる百科事典観については元々関心があり、大学院入学以前にもDiff(ウィキメディア財団がホストするブログ)にも幾らか記事を書いていたほか、大学院入学後もDH若手の会などで発表していました。

発表内容

当日は、スライドを用いた口頭発表を行いました。内容はごく大まかに「日本語版ウィキペディア『良質な記事の選考』における、『百科事典』に言及した議論の内容、およびそれらが準拠する日本語版ウィキペディアの方針・ガイドラインを整理した上で、結論として『当該議論の内容は多様であり、準拠する方針・ガイドラインも多様』と示す」という感じです。スライドはResearchmapにアップロードしたので、詳細が気になる方はご覧ください。

質疑応答

発表内容に対し、フロアからは以下のような質問をいただきました。回答と併せて紹介します。

  • 最終的に、百科事典とは何かについて知りたいのか(回答)百科事典研究史において、ウィキペディアがどのような立ち位置なのか、そしてそこでどのような百科事典観が立ち現れているのかを整理できると嬉しい。
  • 日本における百科事典は先行研究があまりないが、日本語版ウィキペディアのガイドラインの策定に関わった人々は、どのような百科事典像を想定していたのか(回答)日本語版ウィキペディアの方針・ガイドラインは、英語版ウィキペディアの翻訳・参照が多い。そのため、英語版ウィキペディアに集った人々の百科事典観が反映されていると思われる。
  • 辞書は「教育用」「研究用」など用途が割合はっきりしているが、百科事典はどうか。(回答)ポプラディアなど教育用を謳ったや、特定のドメインの百科事典はあるが、基本は用途を限定しないジェネラルなもの。ウィキペディアもそちら側。
  • ウィクショナリーにおいても「辞書」観をめぐる議論は多いのか。(回答)管見の限り、ウィキペディアほどではない。原因としては、単に参加者数の少なさも挙げられるが、ウィクショナリーのコンテンツがいわゆる伝統的な「辞書」と乖離しているからではと予想している。

感想

発表の機会を頂けてありがたかったです。WikipediaをはじめとするWikimedia Projectsを分析するにあたっては、情報学と人文学双方の知見が必要だと思っているので、語彙辞書研究会には今後もできる限り参加したいところです。

会場の東洋大学白山キャンパス (Eugene Ormandy, CC BY 4.0)

Can you help us translate this article?

In order for this article to reach as many people as possible we would like your help. Can you translate this article to get the message out?